雨が降りしきる満月の夜のことだった。
春先とはいえ、まだ冷える夜風に亜子はブルっと身震いをした。

(もうちょっと着込んでくるべきだったかな。)

大学に入り早一年。
初めは友達が出来るか不安だったものの、サークルで知り合った友達と共通の話題であっさりと仲良くなった。
今日はその一人、由梨に誘われた合コンの帰り。

由梨はいわゆる姉御肌な友達なのだけれど、悪く言えばお節介焼きで、今日も彼氏のいない私を気遣って合コンを開いてくれた。
当の私はと言うと、男の子に特に興味がなく。
いや、興味を持てる男の子に今まで出会えてないだけだと思っている。
現に今までも告白されて付き合ったことはあるのだが、いわゆる形だけで、相手を好きでたまらなくなったことなどは一度もないのだ。
今日の合コンでも、アドレスは交換したけど、おそらくそれまでなんだろうと知らず知らずのうちに区切りをつけていた。