「きょうこ?」
「ひょ・う・こ」
「変わった名前!」
「よく言われる」



涙の卒業式も、無事に終わった三日後。
あたしは合格発表を見に、志望校へ向かった。


『あ、あった……』
『うちも!うちもあったよ、豹子!』



尚美も同じ高校を受験しており、見事に二人で合格をした。



そして、あっという間に入学式は訪れた。
尚美とはクラスが離れてしまったけれど、新しい友達ができた。 



「あたし、飯野沙羅紗!沙羅紗って、呼び捨てでいいよ!きょうこちゃん!」
「だから、豹子だってば」


飯野沙羅紗。
沙羅紗は、出席番号があたしの次だ。



「豹子ちゃん、今から部活動紹介だって」
「だるいねー!ってか、あたしのことも呼び捨てでいいから」
「豹子ちゃん、部活入る?」
「………まぁ、一応」



こいつ、人の話聞かないタイプだ……



「まぢ?ね、何部?」
「分かんない。でも、どっかの部活のマネージャーになるつもり!」
「あたしと同じだー!あたしね、バスケ部のマネジになんの!」



沙羅紗は、可愛らしい目をきらきらと輝かせた。



「へー。そうなんだ」
「うん!」
「一年二組の皆さんは、廊下に並んでください」



声のするほうを見ると、生徒会っぽい人がドアの前に立っていた。



「うわ〜……、豹子ちゃん、あの人ダサくない?」
「ん…、」



沙羅紗は、その生徒会っぽい人を指差しながら馬鹿にしたように笑った。



(確かに、かっこよくはないけどさ)



小太りだし、眉太いし。



「それでは今から、体育館に向かいます。僕のあとについて来てください」



わらわら、と小太りについていく。



「豹子ちゃん、まだ何部か決めてないんでしょ?楽しみじゃない?」
「すっごい楽しみ!」