近々未来な彼


足は鉄の球をくくりつけたように重たかった。そんな足をひきずりながら歩くことしかできない。

意識がはっきりしないまま、エスカレーターに乗る。



かちかちとケータイのボタンを押す。

【気分が悪いので、帰らしてください。すみません。】

これだけの文章を打って送信する。メールのマークが点滅して、完了画面が浮かび上がる。





ケータイをおりたたんで、握りしめた。



先輩……。
「何かの間違いだよね、さっきの。」



「俺の言ったこと。本当だっただろ?」



エスカレーターの降り口には、あの男の子が立っていた。


「…なんで、いるの?」



「君が降りて来るのわかってたから」



「………そうなんだ」
今は、反抗して言い返す余裕はなかった。思考回路はほぼ停止状態。



*