一時、その姿を思い出そうとしてやめた。 全く意味がない。 時間の無駄。 危うく閉じかけた扉のボタンを 押すと、またカードに視線を落としそのまま部屋へと歩き始めた。 今日みたいに学校、塾と、 勉強浸けの一日はいい。 余計な事を考えなくて済むし、 何より時間を持て余さなくていい。 「他に好きな子でもできた?」 近付くと流石に気付いたのか、 声を落として問う女性の後ろを通り掛かると開いた玄関のドアから明るい光が洩れ、 足元に長い影を作る。