気付いたら、悪魔の腕の中。



 俺はハッとした。心の底に思い出してほしくなかったという感情があった。


 「神宮寺…お前は環のことどう思ってんだよ」



 「お前に関係ない」




 「俺、環のこと本気なんだけど?十分、知る権利あるだろ」

 めんどくさいやつ、と思った。





 「好きだ、これで満足?」



 「姉貴のことはどうしたんだよ?こいつがどんだけお前に傷つけられたと思ってんだ」



 結城に痛いとこをつかれた。思えば俺は、環を傷つけたことしかなかった。今さら、だと言われてる気がした。