「…ここ、いつから悠詩の隠れ家?」

 いちかはさり気なく俺の隣に座った。




 ここは…旧校舎の空き教室。

 いつも、タマがいる場所。こっから俺を見てる。気づかれないとでも思ったか?グラウンドから丸見えなんだよ…。




 「…先帰ってって言ったはずだけど」


 「いいじゃない。部活サボってるみたいだし?一緒に帰ろ」



 いちかは俺の腕に抱きついた。こいつは、雫を知っている。高1のとき同じクラスだったらしい。そして俺の気持ちも、すべて。それを承知で俺と付き合っている。

 俺はこいつを利用している…タマと離れるために。