気付いたら、悪魔の腕の中。



 「俺たち、手を組むべきだと思う」


 「は?なんのために?」



 人を揺すっておきながら、何考えてんの?



 「つまり、俺はいちかを取り返したい。そんでお前は神宮寺を手に入れたい。そんな俺らが手を組む。実に合理的じゃない?」




 「ちょ、ちょっと待って!あたしは別に・・・ゆ、ゆうちゃんを手に入れようなんて・・・!!」



 あたしの手からは食べかけのやきそばパンが落下した。

 そして、結城くんはそれを器用にキャッチすると続けた。





 「・・・綺麗ごと言ってんじゃねえよ」

 こ、こわっ。
 やっぱり結城くんも悪魔だ・・・。


 「あたしはほんとに、ゆうちゃんとそうなりたいんじゃないの・・・」



 「お前さ、いい加減にしたら?どんだけアイツのこと想ってんのか知らないけど、自分の気持ちに素直になんなきゃそろそろ本気で後悔するぞ」









 「後悔なら・・・何度もしてるよ」



 あたしは涙をこらえて結城くんしっかりと見た。
 目をそらしたくなかった。

 結城くんが今言ったことはあたし自身が一番痛感していることだ。