気付いたら、悪魔の腕の中。




 また無言で歩き続けるあたしたち。

 なんだか新鮮。いや、滑稽?




 でも、あたしの中で確実に一歩前進していた。





 あと少しで我が家とその隣に並ぶ神宮寺家が見えてくる。

 街灯には虫が集まっている。
 7月とはいえ、歩けば少し汗ばむ。

 だけどこの空気嫌いじゃない。


 隣に、想いを寄せる人がいるからかな・・・?





 そのときデニムスカートのポケットで携帯が振動した。

 どうしよー。
 家戻ったらかけ直せば、いいよね?




 「・・・携帯、でれば?」



 そう言ったのは、ゆうちゃんで。
 その表情は『興味ない』、そんな顔。




 「あ、うん・・・」