ころころ



『もうすぐで高校生なんだ…。』

アタシはそんなことを考えながら
部屋に寝転がっていた。

「詩音~!!
春休みだからって寝過ぎよ~!!」

お母さんの声がする。

「…う~……はぁい~…。」

もう少しゆっくりしたかったけど
確かに春休みに入ってから
寝るしかしてなかったから
起きることにした。



(タンタンタンタン―…)

「あ!降りて来た!
もう!しぃちゃん寝過ぎよ!!
あと少ししたら学校も始まるんだから!」

『自分だって昨日沢山寝てたじゃん。』

そんなことを頭の中で
ツッコミしながらアタシは考えた。

『高校生ってどんなだろう…。




高校生に不安と期待を
持っていたアタシに、
こんな感情があるなんて
知らなかったんだ。
誰かを好きになることって難しいけど…
アタシにはあの人以外を好きになるなんて
もっと難しかったんだ。


  春野 詩音
  (はるの しおん)

母 春野 静子
  (はるの しずこ)