差別

　その後、学校では入学当初のような事は起こらなかったが、二学期の終わりに教室の移動がありクラスの皆は机と椅子を持って引越しをした。
「もうそろそろ二学期も終りますが、訳があって教室を変わらなければいけません。」
熊坂先生がそう言うと、授業が終ってから引越しの準備をし、悠太達は背中にランドセルを背負い、手には自分たちが使った椅子を持って、熊坂先生の後に続いて行った。
次の教室は、今まで使っていた校舎の隣の校舎にある。小さな悠太達には、ランドセルさえ大きく見えるのに、そのうえ両手に木製の椅子を持って教室から廊下へ出て、校舎の中央にあるコンクリ－トの中廊下をつたって隣の校舎に行く。教室は一番奥なので、途中４つの教室を通り越して中廊下に出て、コンクリートの中廊下を通り隣の棟に出ても、次の教室も一番奥にあるので、一年生の悠太達にとっては重労働である。背中にランドセルを背負いながら、手に持っている木製の椅子はとにかく持ち難かった、皆は中廊下で一度持ち替えて休憩を取っていたら、熊坂先生はそれでも皆に急げせた。
「早くしないと終らないわよ！」
　教室に入ると、悠太達は持って来た椅子を熊坂先生の言われる場所に置いて、残った机を取りに前の校舎に戻って行く、悠太はその後に起こるとんでもない事には、まだ気がついていなかった。ただ熊坂先生の態度が何か含みのあるようで、悠太には嫌な予感がしていた。