「こんど、お茶会にいらっしゃい。
ゆっくり異国の話を聞かせて欲しいものです。」


「はい!」


皇后の頬笑みは雪乃の心にしっかりと刻まれた


そして
頭に残るのは
優しい手の温もり


頭をなでられるのは
こんなに
幸せな気持ちになるんだ…


城からの帰り道

雪乃は皇后が触れた場所を
幾度となく触れていた

クリスはそんな様子を微笑ましく見つめている

「…皇后陛下は…
母上は私を含めて三人の子を産んだ。」


「三人…。
ってことはクリス様は三人兄弟なの?」

「ああ。
兄と妹がいた。

だが
兄も妹も病気で亡くなってしまった。
兄は良くできた人で
私もよく剣術や勉学を教えていただいた。

妹は幼くして亡くなったが
生きていれば

そう…雪乃くらいになっていただろう。」


そういって
クリスもまた雪乃の頭をなでる

あ…
皇后さまと同じ仕草…

同じ…温もり…