「あ、あんた!
バカじゃないのか?
私みたいなののために…
そんな高価な物引き渡して…。」


少女は驚きと焦りで
声が震えていた


「いいから。

おじさん。
これじゃ足りませんか?

なら
ベルトも差し出しますよ。」


ベルトに手をかけた時

「ユキノ!!」

バリトンの声が響いた

そして
しんっ…とその場が静まり返る


「え…?」

この声って…もしかして…

雪乃が振り返った先には
クリスが立っていた

傍にはジャンやゴルチェが控えている

「クリス様…」


「クリス様だ…」


その場にいた市民が
次々に跪き
十戒の如く道が開いた