「てめぇら!
何してやがる!!!」


その瞬間
亭主の怒号が飛んだ


ヤバい!
少女はますます手を放そうともがくが
雪乃はそのまま亭主に向き直った


亭主は
少女の籠の中のリンゴを見て
みるみる顔色が変わって行く

「またお前か!
何回も何回も、おれをだませると思うなよ!
来い!!
今度こそ役所に突き出して
縛り首にしてやる。」


少女の肩を強引につかんだ
亭主の手を
雪乃は払いのけた


「待ってください。」


「なんだお前は?!
仲間か?」


「仲間じゃないんですけど。
このリンゴ代と今までの盗んだ果物代は
これで何とか許してもらえないですか?」

雪乃は
ベージュのシルクのショールと
金のカチューシャを差し出した


亭主は雪乃の行動に驚き
言葉を失ってしまった