AZZURRO

先ほどの栗毛の馬に乗り
ゴルチェは徒歩で手綱を引いていた


雪乃は大きなベージュのストールを
頭からかぶり

初めて見る街の光景に
瞳を輝かせる

「ハジェンズはアルヴェス帝国の東の要なんです。
海の近くで貿易も栄えていますが
他国からの入国者も多く犯罪も多い。

でも
クリス様がここを治めるようになってから
ハジェンズは住みよい都市になりました。」


自慢げにゴルチェは話す

海と平原に囲まれた貿易都市か…

この世界の文明は
まだ…古代文明なんだろうな…

街の人々の衣装や
街並み
生活風景…

歴史の教科書や
古代ミステリー番組などで見たような
気がする


街のメインストリートだという
市場まで来た時

「まてぇ！泥棒！！」


悲鳴に交じって声が飛んだ


泥棒！？

驚き周りを見ると
マントをかぶった男がものすごい勢いで
人ごみを走り抜けていく


「ユキノ様。
ここでお待ちください。」

ゴルチェは泥棒を追うように
人ごみの中に消えていった