AZZURRO

「…そうか。
ハビエルは失踪する前に
神官を一人殺害している。

儀式の生贄に殺されたのではないか
という説は正しかったのか。」



「皇女様
この明確な証拠が出た以上
これ以上の言い逃れはできません。

どうぞご投降ください。」


クリスとジャンがさらに進み出る

アマリエスはゆっくりと後ずさった


「…ここまで知られてしまうとは…。
さすが帝国一の才と賢帝の皇子。

そう
全てはその禁術を知ったところから始まった。
この帝国を
いや、世界を支配できるほどの強力な力…。

幼き頃から
身分の低い側室の子
魔力が強くて気持ち悪い
と蔑まされて来た私にとって
その術は闇のなかの光明だった。」

アマリエスはゆっくり祭壇に向き直った
水の女神は変わらずそこでアマリエスに微笑みかける


「ハビエルの研究のおかげで
最後までたどり着いたが

生贄だけは高位の貴族や清らかな神官を使っても
失敗に終わっていた。

そして私は思いついたのだ…

この世界以外の人間を使えば
成功するのでは…とな。」


そしてアマリエスの瞳が
雪乃を捕える

雪乃は背筋に冷気を感じたが
目をそらす事は出来なかった


「それで…私をこの世界に…？」

雪乃の震える声が
神殿に響いた