「な、なんだ?
みな、何を見ている?」


戸惑うアマリエスに
クリスは口を開く


「義姉上…
私は誘拐されたのは『姫』といっただけ。

なぜ、その姫が
ここにいる娘とわかったのですか?

そして
何故…この娘が私の側室だと
知っているのですか?」


クリスの言葉に
アマリエスはハッとして口を押さえた

「な、なにを…
異国の姫がクリス様の側室になったという話は
有名ではないか…。

この前きた神官に聞いたのだ。

それに
誘拐されたのが同じ姫だというのは
周知のことだろう。

あれだけ私兵を出して捜索したんだから…。」


堕ちた…


雪乃はひそかに心で囁いた


「私の側室が異国の姫だという事は
確かに他から知ることは可能でしょう。

ですが
誘拐事件の時
私は緘口令をだし、皇族や貴族には
盗賊が入ったと言って捜索していた。

ユキノが誘拐されたという事を知るのは
私の側近と私兵、両陛下そして…

犯人しかいないのです…。」



「くっ…!」


悔しげに唇をかむアマリエス
ワナワナと怒りに握った拳が震えたいた


「義姉上…
どうかもう、全てを話してください。
これ以上罪を重ねてほしくない。

今なら
まだ私の力で内密に処理できます…。」

それは
家族思いのクリスの精一杯の気持ちだった