AZZURRO

神殿内に足を踏み入れると
どこか神聖な気持ちになった


白大理石で造られた神殿の右側には
銀の大きな水瓶があり
そこには絶え間なく水がわき出て
水が間から溢れた水は
造られた水路に流れ落ち
静流の様に神殿の中央を流れていく

水獣が彫刻されている円柱の柱に支えられた
半円筒形の天蓋には父なる神ゼムスが描かれ
その壮大な細工に吸い込まれそうになる

中央の祭壇には蜀台の蝋燭の明かりが揺れ
その後ろには水瓶の水で水浴びをする
水の女神の像が鎮座していた


ゆっくり神殿の中央に足を進める


「これはこれは
珍しい訪問者がいらっしゃった。」


声とともに
祭壇左側のドアが開いて
女性が姿を現した


純白のチュニックに
真っ青なマントを身に付けた
長身の女性

亜麻色の髪はまるでさざ波の様だ


「ご無沙汰しております
義姉上。」


クリスが会釈するのに合わせて
ジャンやスバルは跪いた
雪乃もそれに倣う


「ご立派になられましたね。
ご活躍はここまで届いておりますよ。」

深紅に染まった唇が弧を描いた

その笑顔に
何故か雪乃の背筋が凍りつく


「それは光栄です。
本日は義姉上にお聞きしたい事があって
参りました。」


「私に？

まぁ、何かしら？」

クリスが目くばせすると
恭しく進みでたジャンが女神官に
布に包んでいた例の玉を見せた