帰したくない…

私の手元から離したくない…

クリスの強い思いが
雪乃を抱く腕に力を込める



雪乃はそっと
クリスの背中に腕をまわした


その行為に
クリスは溢れそうな思いを必死でこらえた



もう、どこにも行くな…

帰したくない…

ユキノ…

そなただけを
愛してる…


ずっと
私の傍にいてほしい…




伝えてしまえば
きっとユキノは混乱するだろう

この世界に来た時
『帰りたいか帰りたくないのかわからない。』

そう話していた


そう…
これはユキノが決めなくてはいけない問題

ユキノの人生がかかっている問題…

そこに私情を挟んではだめなのだ


ユキノ…
もし、そなたがこの世界を…
私を選んでくれるのなら

私は全力で愛し

誰よりも幸せにすると誓うよ…


そっと
雪乃の髪に口付け

クリスは雪乃の体を離した


「ありがとう。
ユキノ…今日はこのまま
泊っていくか?」


「へ?!」

思いがけない言葉に
雪乃は一瞬考える…

それって…

そういうこと…?