「…お前の意見は?」


クリスの言葉にジャンは
先ほど自室で考えた事を述べると

「今回は様子を見るだけの方が
いいかと思います。」

と付け加えた

「そうだな。
だが…相手はウェスタン家だ。

宰相の顔もあるし返事無し
という訳にもいくまい。」


「返事につきましては
私の方からお出ししておきます。

ユキノ様は文字の読み書きがまったくできない。
その事実を知らせるわけにはいきませんからね。」


「まぁ…そうだな。
ジャンが書くなら心配はいらないか…。

だが、ユキノも最近
文字のの勉強を始めたぞ。」


その言葉を聞きながら
ジャンは素早く手紙を懐に納める


「それは喜ばしいですね。
このままこちらの世界に残っていただける
決心も一緒にしていただきたいものです。」


ピシャリと言い放ったジャンに
クリスは肩でため息をすると

ジャンに背を向け
天窓を見上げた

うっすらと
星が見える夜空


「ユキノの警戒を強めろ。
ただし本人に気付かれないようにな。
それと、この手紙については他言無用だ。」


「御意。」

ジャンが恭しく頭を下げるのを確認して
クリスは自室を後にした