カイルが夜の帳に包まれ

月明かりすら届かない
暗闇の中


二つの影が

蝋燭の明かりに揺らめいた



「…あの娘の件はどうなった?
あれから
何の行動も起こしてないのか?」

低い女の声が暗闇に響く

「申し訳ありません。
あの事件以降、側近どもの目が厳しく

なにより
あの側近長官が曲者で…。」

しゃがれた声の男が
恭しく頭を下げる


「あの若造か…。

しかし
いつまでも手をこまねいて
見ているわけにはいかぬ。

時間が無いのじゃ!」


「ご安心ください。
今回は絶好のコマを手に入れました。」

深紅の紅が引かれた
薄い唇が緩やかに弧を描いた


「期待しているぞ。
我がしもべよ…。」


「御意。」


ふっ…と
蝋燭の明かりが消され


2人の姿は闇に消えた