しばらく雪乃のすすり泣く声だけが
静が無神殿に響いたいたが

やがて
雪乃は顔を上げた


雪乃から一時も離れず
傍で雪乃の背中をさすっていたクリスが
少し驚いたように雪乃を見ると


雪乃は

スッキリしとした顔で


クリスに笑顔を向けた


「もう、大丈夫です。」

少し恥ずかしそうにも見えたその笑顔は
クリスは雪乃の成長を感じた


「そうか。
なら、帰ろう。」


「はい。

あ、クリス様?」


歩き出したクリスを
雪乃の声が止める

「なんだ?」


「また、ここに連れてきてもらっても良いですか?」

その質問に
クリスは目を細めて頷いた


「もちろんだ。

さぁ、おいで。」


そうして差し出されて手に
何のためらいもなく手を重ねる雪乃は
こうしてクリスと手をつないで歩くことも
日常になりつつある事を
まだ感じてはいなかった