「ユキノ!?」


その時
置くのカーテンから皇后がやってきた


雪乃の顔を見ると
足早に歩みより
その体をしっかりと抱き締めた


「こ、皇后陛下!?」

慌てる雪乃だが抵抗はしなかった
抱きしめた皇后の手が微かに震えていた


「良かった…。
本当に無事でよかった…。」


そして
ゆっくり体を離すと
雪乃の顔を両手で包む


深い藍色の瞳が宝石の様に潤んで輝いていた

「巻き込んでしまってごめんなさい。
怖い思いをさせてしまってごめんなさい。」


母というのは…こういうものなのかな…?

皇后陛下の震える手の温もり
痛いほど伝わる優しい思い


自然と雪乃の瞼にも涙が溜まった


「…お…かあさん…。」


不意に出た言葉
まったく意識などしていなかったのに
雪乃の口から零れた小さな小さな囁きは
皇后にしっかりと届き
その胸を震わせた


「ユキノ。」


そして
皇后はまたしっかりと
雪乃を抱きしめるのだった