そして…


「ユキノ…
おいで…。」



今までその様子を見ていたクリスが
雪乃に手を伸ばした


それを合図に
側近や兵士たちは
音もなくその場からいなくなる


雪乃はゆっくりその手を摂る

その瞬間
グイッと強い力で引っ張られ
クリスの胸にすっぽりと収まった


すっと求めていた温もり

この腕の中に帰るのを
何度も何度も夢見ていた


「やっと…お前に触れられる。

…会いたかった…。」


切なく優しい声が降ってくると
今まで抑えていた感情や不安、寂しさが溢れ
雪乃は関を切ったように泣きだした


幼い子供の様にクリスの胸にしがみついて
声をあげて雪乃は泣き続けた


クリスは雪乃が泣きやむまで
ずっと雪乃を抱きしめ


そして

クリスは



自分が
どうしようもなく
この娘に惹かれている事に気が付いてしまった




その日
雪乃はクリスの胸に抱かれたまま眠りについた