兵士が手薄になったブレイクの宮

雪乃は自室の窓から
街を見下ろした


あちこちから黒い煙が上がり

民の声がする


雪乃はドレスのすそをもちあげ
膝の上で縛り
厚手のマントを頭からすっぽりかぶった

そして
水筒を腰に下げ
書庫から拝借した地図を確認する


何度もシュミレーションは繰り返した


正門は流石に難しいから
馬屋の裏手の低い塀を乗り越えよう

そのまま大通りを走れば
エイル川に付く


よしっ!!


意を決した雪乃は
素早く自室を後にした



そして
誰にも見つからないよう
細心の注意を払って宮から出る



門は固く閉ざされ
兵士の姿も見えなかった



そのまま
馬屋の方へまわる


強い日差しに
灼熱の空気

滴る汗を拭いながら
雪乃は必死で足を動かした