「…何を見ている?」


ふと後ろから聞こえた声
振り返らなくても誰かはわかる


「夕焼けを見てた。」

「そうか…。」


ブレイクはゆっくり雪乃の隣に腰を下ろした
金色の瞳が夕日に染まりオレンジ色に輝く

その横顔が儚げで
今にも消えてしまいそうで
雪乃は無意識に頬に手を伸ばしていた


「どうした?」

雪乃の手を嫌がる事もせず
ブレイクはゆっくり雪乃に視線を落とす


「…消えちゃうんじゃないかと思った。」

素直に気持ちを口に出すと
ブレイクは鼻で笑った

「俺が消えるのを望んでるやつらは星の数ほどいる。
もしかしたら…その方が良いのかもしれないな…。

俺がいなければ
クーデターなどで民を危険にさらさなくて済む。

俺は
誰からも必要とされない…

生きる意味さえもわからなくなる。」


酷く小さな声

いつもの冷酷さも強さも感じない

今にも消えてしまそうなくらい
儚く悲しい声…



その瞬間

雪乃はどうして自分の声が
ブレイクに届いたのかわかった