連れてこられてのは
市街地にある広場だった


しかし
雪乃はその光景に絶句する


アルヴェス帝国では
広場は人や屋台で溢れ活気に満ちていた


しかし
ここには
屋台はおろか

人もまばらにしかおらず


路上の隅では
子供や老人が横たわっていた


ひどい…


悪臭やハエの飛び交う大通り

行きかう人々は
目はうつろで
手足は棒のようになり
骨と皮だけの
ミイラの様な姿だった


「これが我が帝国の現状だ。」

頭上から馬に乗ったブレイクの
悔しそうな
かみしめる様な声が降ってきた


その瞳には
悲しみや
怒り

様々な感情が渦巻いている


「ブレイク様…?」


「ブレイク様だ!」



ブレイクに気が付いた民たちが
一気に集まり人だかりを作った