「アハハハ!
民からも慕われ、才色兼備な名君も女の前ではただの男か…。


だが…急がないと、そこの女官は手遅れになるぞ?

お前の力ならまだ助けられるだろう?」




ブレイクの声が雪乃の耳に響いた



え!?



クリス様なら…ケシャを助けられるの?


腕の中のケシャは
既に冷たい…


「クリス様!」

雪乃はクリスにすがり付いた



「私を…
私を引き渡してください!!
今すぐケシャを…カヴァリ様を助けてください!」


「…しかしっ!」



「私は大丈夫ですから。

命の大切さを教えてくれたのはクリス様でしょ!?

私1人で2人の命が救えるんです!」



「ユキノ…。」



「お願いします…
…お願い…

ケシャを…助けて…。」


最後は
言葉にならなかった


命を粗末にするなと
この世界に来てから
何度も怒られた


命を粗末にする訳じゃない
ただ
大切な人を救いたいの…