クリスの言葉に
そこにいた誰もが納得できたのに
ただ一人

ブレイクだけは
乾いた笑いを響かせていた


「無益戦争ね…。
だったら意味のある戦争にしてやるよ?」


「なに?」

困惑の色を浮かべるクリスとは対照的に

ブレイクは
薄気味悪い笑顔で

カヴァリを掴んでいた腕を緩めた

地上数十メートルはあると思われるバルコニーから
ブレイクの腕一本で中吊りにされるカヴァリ

「やめろ!!」

クリスの声が響く

焦りの交じったクリスの声が
まるで極上のシンフォニーだと言わんばかりに
楽しげに顔を緩めたブレイクは

その鋭い視線を
真っすぐ雪乃に向けた


「この第三皇子…返してほしければ
異世界の娘を我が手へよこせ。」