I'll give…

「私も、名前で呼んでいい?」
彼を見ると、また固まっていたようで、
私の声でハッと我に返った。
「あっ、あぁ。もちろん!」
そんなに大声出さなくても…。
私は、恥ずかしさを抱えて部屋をそっと出た。
この、抱いたことのない感情…。
これは、なんなの?
私にはわからないよ…。
だけど、これだけは言える。
私が彼にもっと近づきたい、
彼のことを知りたいと思ってるんだ。
こんなの、初めてだよ…。
今まで誰かにこんな感情を抱いたことはなかった。
おじいちゃんにも、おばあちゃんにも、
未羽子にも、大家さんにも、
実千夫さんにも、碧さんにも。
こんなの、千草にだけだよ…。
私はこの感情に疑問を抱きながら、
碧さんの元へ戻った。