I'll give…

どうしたんだろ…?
おなか痛い、とか?
私はそう思って彼に近づこうと、
足を踏み出した時、
彼は口を開いた。
「乾のこと……名前で呼んでい…?」
………へ?
な、まえ?
それって………
「『小町』って、呼んでいいか?」
彼の声で紡がれた私の名前は、
今までで一番輝いているような気がした。
彼に名前で呼ばれ、
私は急に照れくさくなった。
顔中が熱を帯びて湯気を出しそうだ。
「うん、いいよ…。千草…。」
承諾した後、
何の了解も得てないのに、
私は彼を名前で呼びたくなってしまった。
その衝動を抑えきれず言ってしまった。
嫌だったかな…?