やっと涙が止まったところで、
私は彼に話す決心をした。
それが伝わったのか、
彼は私をそっと離して私の目を見つめた。
「私…ね。たぶん、寂しかったんだと思うの…。」
「寂しい?」
彼の問いに、私は黙って頷いた。
「物心ついた時にはお父さんもお母さんもいなくて、おじいちゃんやおばあちゃんに育てられたから…」
彼は変わらず黙って聞いてくれている。
そんな彼だから、
私は信じられたんだろうなぁ…。
「だから、私は本当の愛っていうのを知らないんだと思うの。」
こんなキレイ事、未羽子にも言えなかった。
それなのに、さっき名前を知ったばかりの彼に話している。
不思議な感覚だった。
「独りになると寂しくておかしくなりそうになるの。だから、誰もいないよりは、体を売って独りにならない方がいいなって思って…始めたんだ。」