髪を洗っている間、 頭上から僕以外の手が 伸びてくることは、無かった。 「今から目をつぶるから。 何か居たら言ってよ?!」 いざ、髪を洗い流す。 宣言すると、亮太郎はどうやら こちらを向いたらしい。 さっきまでは、本を読んでいた。 「まかせろ!」 何かの姿が見えたら、 確実に彼ははしゃぐだろう。 その証拠に、すでにテンションが高い。 だけどまあ、自分で気付くよりはいい。