ケ レ ド
「こんなん、痛くも痒くもないぞ。」
攻撃を当たりながらも平然とコチラへ歩みを進める。腰が抜けていく。ヘナヘナと座り込んだ。
何か、しなくちゃいけないのに体はもう動かなくて。
魔力はもう限界に近い。
ヤツを睨むしかできない自分が腹立たしい。
「・・・・終わりだな。」
腰に下げている剣を鞘から抜き、あたしの首筋に当てる。
「・・・・くっ!」
ニヤニヤとあたしを舐め回す視線が気持ち悪い。
でも指一本動かせない。
___ここまで、か。
あっけない終わり。
死に際には貴方の声が聞こえてくる。
「・・・空」
話したいこと、伝えたいこと。
たくさんあるの。
__でも今は貴方の優しく笑う顔がみたい。
空の笑った顔はいつだってあたしに勇気をくれる。
そう、いつだって。
「____終わりだ」
感情の込められていない無機質な声。降り下ろされる剣。
__もう、大丈夫だよ。
空耳なのか、自分で発した声なのか。
わからないがその一言で体に力がみなぎる。
「はぁああ!!」
ジェルノアを掴んで一気に振り抜く。ジェルノアがヤツの手首を斬り裂き、剣を引っ込める。


