光の魔法を君に




「皐月」


白と黒。対象的な色彩がこの世のものではないとわかる。
これはノアの魂そのものだから。ジェルノアもジェルの魂の一部なのだか、全てではない。


この世の“理”ではないもの。





「それがお前の“応え”か。」

「・・・あぁ。」


ディスは、嬉しそうにでも哀しそうに微笑む。
彼は何を考えているのか昔からわからなかった。



そう、父と母を裏切る前。
穏やかで平和な時間がずっと続くと信じてやまなかった日々。
温かった。日々、ディスは父の側近だった。



___彼を信頼してた。



幼心にも彼は信じていた。






なのに、彼は裏切った。





「お前が父と母を殺した日からずっとずっとお前をこの手にかけることを望んできた。」


ディスは何も言わずただ俺の呟きを聞いている。





「今日、それがやっと叶うんだ」


カチャリ、皐月が音を立てる。
それを合図に俺は地を強く蹴った。
一直線にディスの胸元を狙う。


だが、そう一筋縄ではいかない。



ディスは反撃することなく避ける。
剣は手にしているものの使う気はないのか軽くしか握っていない。
違和感が俺に纏わりつく。



避けられることは考えていたからそのままの体勢で剣を無理やり振り抜く。
けど、それも避けられ攻撃が来ると思い体勢を立て直そうとディスを見ると避けるだけで何もしてこない。




「・・・・っ・・・!」


違和感、の正体が分かった気がする。
俺の耳元で妖しく“それ”が囁く。