光の魔法を君に




空からカチャリと音がすれば、
黒月を構えて、コウの背から降りている。


「夢羽、先に行って」


なんとも言えないような声。


「っでも・・・・!」


空から感じる凄まじいほどの殺気があたしを引き止める。


「行って!!」


鋭い声とともに、あたしを一瞥する。






「・・・ッ!」


不意に風を感じたら、頬を裂かれる。




「・・・はやく・・・。」


苦しそうに顔を歪め、切なそうな声を絞り出すように発する。



「・・・・空・・・」



空色の髪は、風に揺れ。
全てを見通すような水色の瞳が怒りで震えている。





「・・・・・ッ」


コウは静かに走り出した。
空の小さくなるウシロスガタ。
見たくなかった。



“復讐”を遂げようとする空。



止めれるはずはなかった。
けれど、止めなければならなかった。




矛盾する心に揺れる貴方は儚げ。
すぐに機嫌を損ねるソラのよう。





「空・・・信じてるからね・・・。」



誰かが聞いてるわけでもなく。
誰かが返してくれるわけでもない。


なのに、言葉にしてしまう。



ちょっとだけ自己嫌悪に陥る自分をちょっとだけ喝いれて。



前を向く。