――えぇぇぇぇ!
春のケンカから悠司になっちゃった。

隣では困り果てた悠司の姿。

「みっみんな!ケンカはやめようよっ」

悠司が止めに入るもののケンカは
収まることをやめない。

…むしろ悪化している。

――ガラッ!!

その時教室のドアが思いっ切りあいた。
一気に静まり返る。

「お前たち…俺のためにケンカするな!」

――はっはい??
ほんと呆れた。

「みんなで取り合ったって俺は1人しか
いないんだぞっ」

――アホだ…。
こうなったら何を言ってもダメだ。

「はーるー!!」
「ごめんね〜」
「だよね!みんなの春だよねっ」

女子…大丈夫かな…――。

すると…

「先生、違いますよ。みんなは俺を取り合ったんです」

ゆ…悠司ー!!!!!
どうしちゃったのさぁ!

「はぁ!!俺より悠司の方が人気があるのかぁー!!」

ガッカリしたようにイスに座った。

私はこっそりと悠司に話し掛けた。

「悠司…どうしてあんなこと言っちゃったの??」

悠司はしばらくすると顔を背けて

「だって南智が先生にとられちゃう」

そう言った。
ううん。言ったと思う。
本当に小さな小さな声で。



このときの私はこんな幸せが続くと
思っていたんだ。