「…帰ろっか」

いつの間にか悠司は
普段どうりになっていた。

「うん」

いつもの帰り道。
ただ一つ違うのは、悠司。
明らかにテンションが低い。

「…ねぇ、ホントになんかあった?
さっきからおかしいよ」

思いきって聞いてみた。

けれど返ってくる答えは同じ。
“イライラするだけ”

私には何にイライラしてるのかも
わからないし…。

もしかしたら
私が勉強の途中で寝ちゃったから…?

「ゆ…悠司?ごめんねっ勉強の途中で寝ちゃって…」

本当に申し訳ない気持ちで
いっぱいだ。

「…南智のせいじゃないよ。ごめん…。
ただの…ヤキモチ…」

―――えっ。

今、言ったよね?
ヤキモチって…。

「…や、ヤキモチ?」

「――そう。だって俺の誕生日には
何もくれなかったのに、青には
クッキーあげるんだ…。
それも、南智の手作り」

ちょっとすねた口調で言う悠司。
もう、本当にかわいい。

「悠司、ごめんね。私悠司の誕生日知らなかった」

だって、もう何年も前の話しだよ。
いちいち覚えてられないよー!!

そう言うと悠司は
俯いてしまった。

「俺は南智の誕生日覚えてたのに…」

―――うそっ

私の誕生日覚えててくれたんだ。
なんか…うれしい!

「ありがとう。忘れててごめんね。
そのかわり悠司も一緒につくろう」

ね?と言ってなんとか悠司の機嫌を
あげてみた。

すると、
さっきまでのすね顔はなくなっていた。

「えっ!!いいの?
じゃあ、俺にもつくって!!!」

本当に、子供みたいでかわいい。
その笑顔…好きだなぁ…。