「何?」


急に振り返る会長に驚いた



何?って何?



「手」


手?


会長から視線を下に移すと



会長の手を掴んでいる私の手



「言いたいこと言えよ」


「は?」


「何か言いたそうな顔してる」


「…………会長の馬鹿」


「あっそう」



会長は私の手を払いステージに向かって歩き出した




馬鹿って言いたい訳じゃない



ほんと私って可愛くない



ほんとはね



「行かないで」



こう言いたかった