俺は、高村を連れて屋上にやってきた。






今日は青空で太陽の陽射しが気持ち良い。

本当は、もうちょい早く高村を屋上に連れてきたかったんだけど、雨やら曇りやらで屋上に連れてきても気分がすぐれないと思ったから晴れの日をずっと待ってた。

気分もそうだけど、屋上から見た景色を高村に見せたかった。というのもある。 
風景が好きだと言ってたから、晴れた日の街並を上から眺めるのもいいかな?と純粋にそう思った。



こんな俺の小さな想いがちゃんと高村に届いただろうか?

不安が胸を埋め尽くす。


だけど、俺の不安をよそに高村は屋上に着くなり「わぁ・・!!」と顔を輝かせ、空を見上げた。


あ、この表情(かお)――

俺は、この表情に惹かれたんだ。
作った笑顔(もの)じゃなく、心から笑う高村に。





そして、嬉しそうにする高村を横目に俺も空を見上げた。






このまま、時が止まればいいと思った。