あーあ!


 逃げて行っちゃった!


 コレットは呆然とした表情で立ち尽くす。


 レニオに嫌われてしまい、ショックを隠し切れない。


 ガックリと肩を落とすコレット。


 背後に誰かが歩み寄って来た。


「コレット」


 名前を呼ばれて、コレットは泣きそうな顔を上げた。


「ロバーツ先輩」


「腰が抜けちゃった? ほら、立って」


 メソメソ泣いちゃったコレットに、キャサリン・ロバーツは手を指し伸ばした。


 そう言えば、コレットはその場に倒れ込んだままだった。


 コレットはその手を掴み、相手に引き上げられるように倒れ立ち上がる。


 実は2人は、中学時代の先輩後輩の親しい仲なのだ。


 さすがにレニオは、この事実は知らない。


「レニオに、フラれちゃった…」


「フラれたの?」


「何だか私、嫌われたみたい」


 キャサリンは傍の壁に寄り掛かった。


「嫌われた…って、どうして分かるの?」


「あの時、私がカンカンに怒ったから、レニオはその事を今でも根に持っていると思うの」