夜9時…


 昼間は結構、賑やかなこの界隈も、今頃の時間はシーンと静まり返っている。


 コレットに再び訪れたレニオ。


 こんな遅い時間に店を訪れたのは初めてかも。


 店は既に閉店している。


 表の看板灯は中へ入れてあるし、店内は暗い。


 出入り口のドアノブにはSHUTのプレートが掛かっている。


 ドアを開けてみようとするけど…


 もちろん、開くワケがない。


 約束の時間に来たのはイイけれど、不安になっちゃう。


 コレットの中にいるのどうか気になるのだ。


「レニオ」


 背後から声がした。


 振り返ってみる。


「やあ、どうも」


 頭を下げたレニオ。


 コレットが歩み寄って来て、レニオの腕を掴んだ。


 黒のワイドパンツにアイボリーカラーのTシャツの格好で、ブラウンのレザージャケットで決めちゃっている。