「その女の人って誰?」


「名前はコレット・カイザス。
 バドム繁華街でカフェやってる28歳の女なんだ」


「カフェの、女店長ってワケね」


「男性から卑猥な言葉を掛けられて、どんな気持ちでいるんだろう?」


「その人が?」


「その人がだよ」


 しばし、思いを馳せてキャサリンは答える。


「そんなに、深くは思っていないと思う。まあ、少しはカッカ来ているかもね」


「ひぇー、そうかよ」


 レニオったら、不安感が増して来たようだ。


 気持ちを落ち着かせようと、キャサリンは言う。


「これ以上はもう、あれこれ考えちゃダメよ」


「…」


「気持ちをリラックスにしなさい、リラックスに」


「リラックスに?」


 キャサリンは足を止め、いきなりレニオに抱き着いた。