名刺を見入るレニオ。


 途端に表情を変えた。


「グランド社の人なんだ!? し、失礼しました!」

 立ち上がって挨拶するレニオ。


 その慌てぶりに、女性は思わず吹き出し笑いした。


「そんなに固くならないで。気楽に行きましょう?」


「でもアナタは、僕が努めているラブット社の大事なお得意様の人です! 気楽だなんて、そんな畏れ多い事を!」


 説明するわね。


 レニオは電子機器部品メーカーであるラブット社の本社に勤めている。


 所属は企画営業課である。


 この女性…キャサリン・ロバーツが勤めている機械製造販売メーカーのグランド社は、ラブット社の大切なお得意様先ってワケ。


「それは考え過ぎよ。今は仕事をしているんじゃないし、変に気兼ねする事ないでしょう?」


「でも」