なんだか悔しくて、柄にもなくムッとしてしまった俺。
「ごめんってば。ハル、機嫌直してよ。」
「別に怒ってなんてな…」
そこまで言った時でした。
ふわり、と小さくて冷たい手が俺の両頬を包みました。
「――――っ!?」
そのまま唇に伝わる、温かな感触。
唇から感じるのは、愛しさと温もりと優しさ。
教室の四方八方から、きゃああっと黄色い声が飛びました。
「ヒカリちゃ…っ」
「あ、ハル真っ赤っかだ。」
「っ!」
慌てて顔を隠し、座り込みます。
「~っ!」
「あははっ、ハルが照れてる」
これじゃ、いつもと逆です。
参りましたね、まったく。
「ヒカリ…、ここどこだと思って…。」
「どこって、教室…」
俺が言って、初めて気がついたらしいです。
ヒカリちゃんは、俺以上に顔を真っ赤にして顔を隠しました。
その俺らの様子を見て、今度は教室から笑い声が上がっていました。