【短編】ヘタレ君のわがままなカノジョ。





「おはよう、ハル…。」




君は真っ赤な顔で、そう挨拶してくれました。




途端に、昨日の記憶がフラッシュバックされました。




『ハルのこと大好きなの、あたしだけ…?』





その時の君の顔が鮮明に思い出され、自分のした大胆な行動も伴い、昨日味わった強烈なまでの羞恥心。




昨日以上に、顔が熱く、頭が真っ白になりました。




「お…おおおお、おはおはおはよう…ございます…」



何故か、語尾が敬語になってしまいました。



おまけにかみかみです。



俺、自分のことながらダサすぎではありませんか?




「…ぷっ。」




「え…」




微かな笑い声に顔をあげると、君はふるふると肩を震わせて笑っていました。




「ヒカリちゃん…、そこ笑っちゃう?」




「ごめ…っ、だって、可笑しくて…!!」




とうとう君は、声を出して笑いだしました。





「…笑いすぎ!」




「ごめんごめん」




ようやく笑うのをやめてくれた君。



目にはうっすらと涙がにじんでいました。