【短編】ヘタレ君のわがままなカノジョ。





「じゃあね、ヒカリちゃん。」



「うん。」



君を家に送り届け、俺は再び帰路につきました。


そんなときです。




「ハル!」



「ん?」




急にヒカリちゃんが俺を呼び止めました。





「ハル。ちゅうしないと、帰っちゃダメ。」






…え。



えぇぇぇぇぇっ!!




本日最大の、予想外の出来事です。




びっくりしすぎて、数秒ほどフリーズしてしまいました。




多分、顔は君以上に赤くなってるかもしれません。




顔が上げられなくて、少しうつむきます。




「ハル、やっぱり…嫌?」



「え…?」




悲しそうなヒカリちゃんの声に、はっとして顔をあげると、君は眉尻を下げて俺を見ていました。




「ハルと一緒にいて、ドキドキしてるのあたしだけ?」




ぽつり、と君の大きな瞳から雫が落ちました。





「ハルのこと独り占めしたいって思ってるのも、あたしだけ?」





「ヒカリちゃ…」





「ハルのこと大好きなの、あたしだけなの…?」