【短編】ヘタレ君のわがままなカノジョ。





「ハル、デレデレしてた。」



「えぇっ!してないよ!」



「してたもんっ」




眉間にシワを寄せて怒る君は、寂しそうな子供みたいで。



何故か、口元が緩んでしまいました。




「ちょっと、何笑ってんのよ。」



俺が笑ったのを見て、君は不機嫌に口を尖らせました。



そんな顔も可愛くて。



また、笑ってしまいました。



「~っ!!ハルのばかっ!」


君は、顔を赤くしてぱっと目をそらしました。



ああ、どうしてこうも可愛いんでしょうか。




「チョココロネ買ってあげるから、機嫌直して。」



「なっ!あたしは食べ物でつられたりしないんだから!」



「いらないの?」




「…いる!」




ちょっと悔しそうに顔をしかめつつ、君は言いました。



顔も、恥ずかしそうに真っ赤です。




「そっか。よかった」




また笑いだしたくなる衝動をこらえ、俺は歩きだしました。



君も、始めはああだこうだと文句をこぼしていたものの、ちゃんと俺についてきてくれました。