【短編】ヘタレ君のわがままなカノジョ。




…何だったのでしょうか。



「あ、ヒカリちゃんゴメンね。行こうか」



くるりと振り返ります。


しかし、そこにヒカリちゃんの姿はありません。


「えぇっ!ヒカリちゃん!?」



慌てて教室を覗きますが、そこにもヒカリちゃんの姿はありません。




どうやら先に行ってしまったみたいですね。



でも、何ででしょう。


そう言えば、さっき機嫌悪かったですよね。



何かあったんでしょうか。



俺は、鞄を背負うと慌ててヒカリちゃんを追いかけました。




やがて、玄関の所にいるヒカリちゃんを見つけました。



「ヒカリちゃん!ゴメンね、遅くなって。行こ。」



まだいてくれたことが嬉しくて、ヒカリちゃんに笑いかけます。



すると君は、むぅと頬を脹らませつつ、こくりと頷きました。



「ヒカリちゃん、何かあった?」



「…あの子、誰。」



あの子…?


皆川さんのことでしょうか。



「皆川さん?んと、先月ボールがぶつかっちゃったんだ。」



「…それで?」



「それだけ。ちょっとお話しただけだよ」