その日の放課後、俺は祐也の家にいた。夏美も一緒にいた。二人とも、すごく心配してくれていた。
「俺、前みたいに戻りたい。幼なじみの関係に戻りたい」
俺は言った。
「春くん、あのね、渚が言ってたの」
「えっ？」
「渚ね、春くんの気持ち聞いて嬉しかったって言ってた。自分のこと、こんなにも想ってくれて本当に嬉しいって」
夏美の言葉を俺はただ聞いていた。
「でもね、やっぱり幼なじみとして春くんを見ちゃうんだって。一緒にいる時間が長過ぎて、すぐに付き合うとかそうゆうのがよく分からないって。渚、泣きながら言ってた」
俺の目からは、涙が流れていた。
「今日、昼休みにね話したの。渚、今のままじゃ嫌だって言ってた」
夏美の声は震えていた。涙を必死にこらえているのが分かった。隣りで、祐也が夏美の手を握っている。
「離れて初めて分かったって。渚も、春くんのこと好きなんだよ。幼なじみとしてじゃなくて。一人の男として好きなの」
「俺、俺……」
涙で言葉が詰まった。
「渚の所に行ってあげて。渚には、春くんしかいないんだよ」
夏美はいつも俺の背中を押してくれる。
「行けよ。渚、待ってんぞ。男を見せてこい」
祐也もいつも背中を押してくれる。
俺は、急いで渚の所に向かった。