「もしもし」
俺は出た。
「春くん?」
夏美の声は、いつもみたいに元気がなかった。
「どうした?」
「今日はごめん」
夏美は謝った。
「気にしてねぇよ」
「でも…」
夏美は申し訳なさそうに言う。
「気にしてねぇから。祐也にも、なんか言われた?」
「別に何も。なんか、余計なことしちゃったかなって」
「いいよ。これではっきり分かったし。渚にとって、俺は幼なじみ、幼なじみなんだ」
俺は言った。
「春くん…」
「ありがとな。もう切るよ。また、明日な。おやすみ」
俺は電話を一方的に切った。携帯を持ったままベットに倒れ込んだ。




俺がたとえ好きでも、ダメなんだな。




好きだけど、幼なじみなんだな。




幼なじみ…




幼なじみ…




幼なじみじゃなかったら、渚は俺を好きになってくれた?





幼なじみじゃなかったら、良かったのに…